Benjamin Appl, Baritone

10年ほど前から知っていたけど、ちゃんと聴いたことはなかった。今回もNHKの「クラシック倶楽部」を録画し聴いただけだけど、とても素晴らしい。力強い男性的な声が美しい、歌い方・技術がよい。なめらかなフレージングが心地よい。

R.シュトラウス:万霊節

(Allerseelen)作品10-8は、リヒャルト・シュトラウスの歌曲

1885年10月3日に、マイニンゲンで書き上げられた。ヘルマン・フォン・ギルム(ドイツ語版)の詩に付曲したシュトラウス最初の歌曲集『「最後の葉」(”Letzte Blätter” )による8つの歌曲』作品10の一曲。シュトラウスの歌曲の中でも特に演奏機会の多い作品で、畑中良輔は、「この比類のない美しさと清純さは、彼の壮大な交響詩が滅ぶことはあっても、おそらく永遠のものとして残るであろうと思われる」と述べている。

楽曲: 変ホ長調、4/4拍子。万霊節の日に、亡き恋人への想いを語る詩に基づく。息の長いフレーズで通作されており、素直に歌われる第1節、少し陰りを見せる第2節、序奏の旋律を用いて盛り上がる第3節、と設計されている。異名同音的な転調も効果的に用いられる。

原詩

Stell auf den Tisch die duftenden Reseden,
Die letzten roten Astern trag herbei,
Und laß uns wieder von der Liebe reden,
Wie einst im Mai.

Gib mir die Hand, daß ich sie heimlich drücke
Und wenn man’s sieht, mir ist es einerlei,
Gib mir nur einen deiner süßen Blicke,
Wie einst im Mai.

Es blüht und duftet heut auf jedem Grabe,
Ein Tag im Jahr ist ja den Toten frei,
Komm an mein Herz, daß ich dich wieder habe,
Wie einst im Mai.

浜離宮朝日ホールのコンサート

Schubert Lieder (Wigmore Hall Live 2016)

◇序章
シューベルト:幸せ D433

◇由来
レーガー:子供の祈り op.76 No.22
ブラームス:子守歌 op.49 No.4

◇場所
シューベルト:孤独な男 D800
ブラームス:月の夜 WoO 21
シュレーカー:森の静寂

◇ひとびと
R.シュトラウス:万霊節 op.10 No.8
シューベルト:夜曲 D672

◇国境を越えて
プーランク:ハイド・パーク FP127 No.2
ブリテン:グリーンスリーヴズ
ヴォーン=ウィリアムズ:静かな午後
ビショップ:ホーム・スウィート・ホーム(埴生の宿)


◇エピローグ
グリーグ:6つの歌 op.48

ブログ di LunaさんのBlogより; このリサイタルでは、ドイツ語でいうHeimat(ハイマート)「魂の故郷」というものをコンセプトとしている、という話。見事な歌曲コンサートで、バリトンの張りのある英雄的なフォルテと、抑制のきいたきれいなピアノの声、そっとやわらかく、そして開放的にとコントロールが聴いた歌唱と、本当に見事な歌曲演奏の連続で、あっという間の2時間でした。

<歌唱・演奏について>
 最初のシューベルトの「幸せ」という曲を聞いたときは、しっかりとした歌唱に多少深く響きの良いバリトンで、見事な声だな、と思ったのが第一印象でしたが、その歌を聞くに連れて、それがほんの一面に過ぎないことに気づきます。
 むしろ、その歌唱の特色は、抑制のきいたピアニッシモの美しさかもしれません。有節歌曲でも微妙に繰り返しごとに表情が違い、とても丁寧に歌っている感じです。そして、ちょっと溜めのあるような語り口で、ゆっくりとピアノの声でじっくり聴かせる感じの歌が絶品です。
 気づくのは、そのピアノの声は、一種の裏声なのかもしれないですが、地声との間に切れ目なくスムーズに声がつながっていること。されに、「切れ目なく」という意味では、どこでブレスをしているのだろうと思う、絶妙な息継ぎが、本当に見事で、全編、ゆっくりで、ささやくように歌うのが長く続いても、まったく息継ぎをしていないような滑らかな歌唱に関心しました。
 一方、堂々と力強く歌っても声がよく響き、言葉も滑らかですし、早口で明るく、跳躍するような曲、フランス語で「エスプリの効いた」ような曲も、全体がとても均質に広がって響くところが本当に素晴らしい歌唱でした。シュレーカーの「森の孤独」は情景描写が素晴らしく、R・シュトラウスの「万霊節」は、シュトラウスらしくしんみりと、でも厳粛かつ芳醇な感じ。

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