“独混”第二六連隊比島の苦斗”

「おじいちゃんのフィリピン足跡が垣間見える戦記」20250613

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井上忠著
まえがき
昭和五十四年の夏「小山内隊の戦線回顧」を発表し、生還者と中隊のご遺族等に送りましたが、その内容はサマール島における、小山内中隊行動を主にしたものです。当時知る事の出来なかった他中隊の戦況こそ、高浪連隊苦斗の実態として、比島戦況を語るに相応しいと考えながらも、その戦場からの生還者は僅少、情報入手も困難と予測して、逡巡したものです。
しかし、ご遺族からの、お気持ちが伝わった事と、今日僅かでも書き残さなければ、比島戦線防衛の為に、生死をかけた苦斗の戦況と我が連隊名までが、遠い比島の山野に風化消失する事は誠に悲愁なことです。
今次大戦中最大の決戦場に、北満より派遣された若い兵士が、悪疫蔓延の山野に、空腹の体で挺身し「本土決戦期の遅滞」という、重要な新任務に就き、連隊長以下多数の将兵が戦没された、という戦況を記録出来るのは現在も生かされている生還者にのみ可能な事と、熟慮、発心して、生存者捜しに始まり、戦況の概要を書き残したいと、願望するものです。

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