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Constitutionalism (Page 13)

<民進党玉木さん>

天皇陛下の「退位」は皇室典範の改正によるべき

以前、当ブログにも書いたように、私は、天皇陛下の退位を認めるなら皇室典範を改正するのが筋だと考える。しかし、政府の有識者会議は、今上陛下一代のみに適用される特例法で対応すべきとの意見集約を図るらしい。

その理由として、

・退位の要件は時代によって変わるので恒久的な皇室典範の改正は適切でない、・退位の要件を一般化して法定することが困難 などが挙げられている。

しかし、これは合理的な理由なのだろうか。

退位を認めない、よって皇室典範の改正も認めない、というのであれば、論理的整合性は取れている。しかしながら、退位は認めるものの、それを今上陛下に限定して特例法で対応し、皇室典範の改正は認めないというのは、論理的整合性がとれていないように思える。

なぜなら、退位の要件を法律に書き込むことが困難という問題は、特例法にも同様に生じる問題だと思うからだ。つまり、今上陛下にだけ「特例で」退位を認めるとして、どのような場合に、原則に対する「特例」を認めるのか、当該「特例」が認められる要件とは一体何なのかという問題が、いずれにせよ生じる。

例えば、特例法であっても、今上陛下の「高齢による職務困難性」などを退位の要件として書き込むことになると思われるが、その場合、この「職務困難性」を誰が認定し、そして、なぜ困難性を今上陛下のみに認めるのか、その立法の基準は極めてあいまいで恣意的なものになるおそれがある。逆に言えば、時の政権の胸先三寸で、「特例」が認めらない場合も出てくる。

また、退位の要件を一般的・客観的なものではなく、特例的・特別なものと位置付ければ位置づけるほど、「今上陛下ご自身が強く希望したから」などと、今上陛下の「個人的ご事情」に退位の理由を求めざるを得なくなる。その場合、何か「今上陛下のご都合」のために特別な立法が行われるような印象を与え、陛下に対しても失礼な形になることを懸念する。

やはり、退位を認めるのであれば、立法困難性を楯に特例法に逃げ込むのではなく、十分な国民的議論を行ったうえで、皇室典範を改正し恒久的な制度として認めるのが筋であろう。そもそも、8月8日のお言葉で今上陛下が提起されたのは、「ご自身」の退位に関する問題だけではなく、あくまで、象徴天皇の“退位一般”についての問題提起だったのではないか。

また、天皇の政治的行為を禁止した憲法4条の制約を考えても、「今上陛下のおことばを受けて、今上陛下にのみ適用される法律を作る」ことは、より違憲の疑義を生じさせることにもなる。その意味でも、特例法ではなく、皇室典範改正による一般的、恒久的な制度として退位を認めるべきだと考える。

大切なことは、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくこと」をいかに確保するかである。よって、一時的・弥縫策的ではない、安定的・恒久的な制度を考えることが、国民の代表たる国会議員の責務である。

国民の皆さんと共に、さらに議論を深めていきたい。

 

<山尾しおり議員>

皇位継承について善き公論を

2016年12月22日

昨日12月21日、天皇の退位につき、民進党としての考え方をとりまとめ、発表しました。
私は、この間、党内検討チームの事務局として、直接とりまとめに携わってきました。
まずは、検討チームからのヒアリングにおいて、専門家としての深い知見をこころよくシェアしてくださった有識者の皆さまに、心から感謝申し上げます。
発表後のこれからは、皇位継承という、国家と国民生活の根幹をなす論点について、善き公論を作り上げていくことがとても大切です。
民進党の考え方を丁寧に説明し、これからようやく始まる国民的議論に奉仕していきたいと思っています。
今回の民進党の考え方のポイントは、(1)天皇の退位を認めるべきであり、(2)そのためには一時的な特例法でお茶を濁さず、恒久的な制度として皇室典範を改正すべき、ということです。
政府のもとに設置された有識者会議の議論が、まさに特例法で幕引きさせる方向に進んでいることを危惧します。
今上陛下が大切に深めてこられた象徴行為、慰霊の旅や被災地激励のお姿などに、国民一人ひとりが心動かされ、自然と皇室に対する敬意へと結びついていく内的体験の共有は、天皇が「国民統合の象徴」であるための核心を担っている、と私は思います。
そして、この象徴天皇の永続性を大切に考えるならば、「今回に限りとりあえず退位を認める」という特例法はあまりに無責任であり、どの天皇にも適用される皇室典範の改正という本丸に正面から取り組むことが是非とも必要なのです。
考えてみてください。
今回特例法で対応すれば、時の天皇陛下の地位が、法律成否の手綱を握る時の政権の意向に左右される前例を作ることになります。天皇の地位が時々の政権の影響下におかれてよいとは思えません。
したがって、時々の政権の影響を極力排除するため、皇室典範を改正して、恒久的一般的な要件手続きを定めるべきです。
もちろん、「皇位」の「継承」につき「特例法」で定めることは、「皇室典範」で定めるべしと名指しした憲法2条に反する疑いがあり、こと天皇の地位に違憲の疑いという傷をつけてはならないという理由も重要です。
早くも一部のメディアからは「政争の具にするな」と、安倍総理と同じようなセリフが聞こえてきます。
しかし、国家の根幹に関わる重要な問いかけがなされているにも関わらず、政権与党が抜け道を探っているようにしか見えない今、民意と陛下の思いに寄り添った王道の見解を出すのは野党第一党の使命です。
政争の具批判をおそれて、その使命を放棄し、政権与党と異なる見解を出すことを控えるなら、野党は不要ということになります。
私は、野党議員としての使命を果たしたい。
また、ある方からは「どうせ政府案が通るのに、こぶしをどこで下ろすつもりか」とも聞かれました。
最初から数の力に屈して、正義や理想やあるべき姿を掲げることをためらうなら、国会での議論は不要ということになります。
私は、国会議員としての仕事をしたいのです。
さあ、ようやく、議論のスタートです。
善き公論を作り上げていきましょう。
私も微力を尽くします。

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国民や天皇自身の考えとかけ離れた解決策を目指せば必然的に生じる時代錯誤な理屈の不合理さ。天皇制が絶対とは思わないけれど、現行法にのっとり事は進められるべき。ゴールポストを勝手にずらしたりしたらOUT!

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「日本会議」の中でも、にも神道連盟系とそれ以外では意見の違いが次第に明らかになってきているようだ。その理由は?

百地章の変節」(月刊日本)より;

”天皇陛下の生前退位(譲位)をめぐり、日本会議の主張に変化が見られるようになっています。日本会議はもともと生前退位に否定的な立場でした。例えば、日本会議と関係の深い百地章氏は、8月9日の沖縄タイムスで、「憲法が天皇の政治への関与を禁じている中で、陛下の言葉や考えそのままに政治が動いていいのかという疑問がある」と述べています。ところが、百地氏は政府の有識者会議ヒアリングでは、退位に賛成し、皇室典範の付則に根拠規定を置く特例法を提案しています(12月2日付朝日新聞)。

百地氏が立場を180度転換した背景には、いくつかの可能性が考えられます。一つには、百地氏が天皇陛下のお気持ちを尊重するようになったという可能性です。つまり、当初は天皇陛下の生前退位に反対していたが、やはり天皇陛下のお気持ちを考え、生前退位に賛成するようになったということです。

もし百地氏が自らの主義主張を捻じ曲げてでも天皇陛下の「おことば」を尊重しようとしているならば、それはあるべき尊皇精神ではないかと思います。もっとも、たとえそうだったとしても、一度はあれほど強い言葉で生前退位を批判したわけですから、納得のいく説明を行うべきです。しかし、そのことについて百地氏からしっかりとした説明はなされていません。これは公共圏で発言するものとして不誠実な対応だと言わざるを得ません。

 

もう一つの可能性は、日本会議が方針を転換したことです。つまり、百地氏は日本会議の方針のもと、天皇陛下の生前退位に賛成するようになったということです。もしそうだとすれば、日本会議を取り仕切っている日本青年協議会(日青協)が方針を転換したということになります。”

 

天皇(宮内庁?)の側からのからめ手の戦術も届く。

学友の明石元紹氏からの「伝言」(12/1付け朝日他;「譲位は「自分だけの問題ではない。将来にわたって象徴天皇制の在り方がどうあるべきかが大切」、「国のための制度がある以上、合理的でいつも変わらない形にならないと意味がない」。「摂政にもはっきり否定的なお考え」と)。

もうひとつは秋篠宮の誕生日発言(11/30?8月8日のビデオ放送”について、わざわざ「内閣の了解も得て」と言及したこと。あの放送が、内閣の同意と責任によって行われた事実を、改めて指摘)。

おもしろくなってきた。私は「次の天皇の”男系”直系である愛子さんを次の皇太子に。それができなければそんな天皇制は廃止。だって今の時代の価値観に合わないから・・」かな?

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安保法・自民草案で応酬 衆院憲法審
2016/11/24

<東京新聞>

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憲法審査会 改憲を前提とせずに

憲法をめぐり、国権の最高機関である国会で議論を深める意義は理解するが、必要のない改憲にまで踏み込んではならない。まずは改憲を前提とせず、全国民の代表として議論を尽くすべきだ。

 衆院できのう憲法審査会が開かれた。約一年五カ月ぶりに議論を再開した十七日に続き、この臨時国会二回目である。審査会は参院でも十六日に開かれている。

 きのうの衆院の審査会では立憲主義、憲法改正の限界、違憲立法審査の在り方について、各党が自由に意見を述べ合った。

 民進党の枝野幸男憲法調査会長は、自民党が野党時代の二〇一二年に作成した改憲草案について「立憲主義に反し、憲法を統治の道具であるかのごとく考えている。立憲主義を踏まえたものと(自民党が)認識しているのなら建設的な議論は困難だ」と批判。

 これに対し自民党の中谷元・前防衛相は「人権を保障するために権力を制限する立憲主義の考え方を何ら否定するものではない」と反論した。

 自民党の改憲草案は天皇元首化や国防軍創設など国民主権、平和主義の観点から問題が多く、全国民に憲法尊重義務を課すなど立憲主義に反する内容が盛り込まれている。家族の協力義務を定めるなど復古的で時代にもそぐわない。

 自民党は憲法審査会の再開に当たり、改憲草案をそのまま提案することは考えていないとして事実上封印したが、草案の考え自体を放棄したか否か明確ではない。

 憲法は国の最高法規である。改正は全国民の代表である国会議員の幅広い賛同が前提だ。少なくとも、野党第一党の賛同を得られないような改憲案は、たとえ衆参両院で三分の二以上の賛成が得られるとしても、発議すべきでない。

 改憲草案の考え方に、民進党が賛同していない以上、草案自体が憲法論議を深める障害になっていることは否定できまい。建設的な議論のためにも、自民党は撤回するのが筋ではないか。

 今国会における衆参三回にわたる憲法審査会での議論で明らかになったのは、改憲に前のめりな自民党の姿勢である。

 現行憲法に著しい不備があり、国民の間から改正を求める意見が澎湃(ほうはい)と湧き上がっているのならまだしも、そうした状況でないにもかかわらず、改憲を強引に推し進めるのなら「改憲ありき」との誹(そし)りは免れまい。

 「改憲のための改憲」には反対だ。何度でも強調しておきたい。img_6123

 

<日経新聞> 

 衆院憲法審査会は24日、立憲主義や憲法改正の限界をテーマに議論した。民進党は昨年9月に成立した安全保障関連法と、2012年に自民党がまとめた改憲草案を「立憲主義に反する」と批判。自民党は「安保法は現行法の枠内」「草案は立憲主義をなんら否定していない」などと反論し、平行線をたどった。

安保法を巡っては、昨年6月の同審査会で与野党が呼んだ参考人全員が違憲と判断。合憲か否かで与野党が対立し、今月17日に再開するまで約1年5カ月にわたって審査会が中断した。

民進党の枝野幸男氏は24日の審査会で「集団的自衛権の憲法解釈を一方的に変更した」と指摘し、改めて違憲だと訴えた。公明党の遠山清彦氏は「自国防衛を目的とする集団的自衛権の行使を認めるのは憲法9条に反しない」と反論した。

 枝野氏は国防軍の保持などを盛りこんだ自民党草案も問題視。「立憲主義を踏まえたと認識しているなら建設的な議論は困難だ」とけん制した。与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)は「草案は国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の三大原則を堅持している」と述べ、立憲主義に基づくと主張した。

民進党が議題にするよう求めた天皇陛下の生前退位を巡っては、自民党の上川陽子氏が「いま内閣で精力的に議論をしている」と指摘。現時点で国会で議論するのは不適切との認識を示した。

公明党の太田昭宏氏は改憲の対象になりうる項目として、環境権を挙げた。民進党の細野豪志氏は、大規模災害などの緊急事態下での国会議員の特例的な任期延長を議論すべきだとした。

 

写真<東京新聞より>

天皇退位と憲法問題

立憲主義とは

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生前退位を希望する天皇の意向に対し、それを防ぎたい政府は、「公務軽減等」を図り当面の課題を先送りし、何とか「男系天皇」を守れる方法を見出したいようだ。

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<毎日新聞>

「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は30日に予定する第3回のヒアリング後、論点のとりまとめ作業に入る。ヒアリングの項目に沿って退位をめぐる論点を整理した。

毎日新聞電子版記事

 退位の意向がにじんだ「おことば」について、「おことばを受けて法整備すると、天皇の政治的行為になる」との指摘がある。政府は有識者会議を通じて国民から意見を聞く形をとることで、違憲との指摘を回避する考えだ。

 横田耕一九州大名誉教授は「政治が動かなければ問題ないが、発言を『重い』と受け止めて行動する政治家が多く、国民もそれを求めている」と、憲法違反の疑念が生じかねないと指摘する。

 一方、高見勝利上智大名誉教授は「おことばの表現自体は違憲との批判を受けないよう配慮、工夫されている」と話す。

 

東京新聞の論評はこちら

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(研究者の視点)2016/11/16

「天皇陛下の生前退位問題」の第2回ヒアリングの意義は何か

 | by suzumura

11月14日(月)、天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議の第4回会合が開催され、ヒアリング対象者への2回目のヒアリングが行われました。今回の対象者は渡部昇一、岩井克己、笠原英彦、櫻井よしこ、石原信雄、今谷明の6氏であり、報道によれば渡部氏、笠原氏、櫻井氏、今谷氏が今上陛下の退位に反対し、岩井氏と石原氏が退位を容認する立場を表明しました2

11月7日(月)に行われた第1回目のヒアリングにおいて、今上陛下の退位を肯定する立場の有識者が概ね現状の天皇の終身在位制度そのものの非人道性を指摘し、反対派が天皇が終身の位であることそのものに現行の制度の価値を見出しているのと同様に、今回の6氏の論点も現在の天皇制のあり方そのものをどのように評価するかという点で退位への賛否が分かれたということが出来るでしょう。
ところで、今回意見を聴取された6氏の中で興味深く思われるのは岩井克己氏と今谷明氏です。
すなわち、岩井氏は今上陛下の退位を特例法の制定により対応しようという態度を「一時の『抜け道』をつくる安易な対処との印象を与えかねない」と批判し、高齢を理由とした退位に論点を絞れば皇室典範の改正も「さほど難事とは思えない」と主張するとともに、特例法で対応した後に皇室典範の本格改正に踏み切る「2段階論」についても、「過去の経験からみて、当面の対処が済めば機運がしぼんで先送りとなる恐れがある」と指摘したとのことです2

また、今谷氏は「たとえ陛下のお気持ちといえども軽々に判断することは避け、大多数の国民が一致して結論を出せるよう冷静に議論することが必要だ。有識者会議のメンバーの中には、すでに一代限りの特例法がふさわしいと述べている人がおり、国民に予断を与えかねない。まずは様々な論点を出し尽くすことに専念すべきだ」としています。

岩井氏の指摘の意義は、眼前の懸案事項が処理されればさらに踏み込んで問題を抜本的に解決しようとする意欲が低下する日本の政界の様子を象徴的に伝える点にありますし、今谷氏による問題提起は有識者会議、さらには政府内に特例法による解決を既定の方針として議論を行う雰囲気のあることを示唆します。

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天皇退位,女性天皇へ

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国民主権のもと、国民が選挙を通じ、政治家を介する形で、正しくロボットに入力していくという構図” って何だろう?

天皇の「お言葉」、憲法学者ら考察 樋口陽一さん・石川健治さん

2016年11月2日 (朝日新聞)

 著名な憲法学者らが、先人の憲法解釈を引きながら天皇の「お言葉」問題を論じている。憲法学界の重鎮の樋口陽一・東京大名誉教授は天皇と政治の関係について講演会で、石川健治・東京大教授は専門誌で「象徴」について考察した。

東京であった「加藤周一記念講演会」に講師として樋口さんは登場。司会者から天皇の退位問題へのコメントを求められ、戦前から戦後にかけて活躍した憲法学者・宮澤俊義(故人)の憲法解釈を紹介した。

天皇には政治的権能がなく、その行為には内閣の助言と承認を必要とするとした新憲法のもとで、天皇は「ロボット」的な存在なのだと宮澤は説明していた。宮澤があえてその言葉を使った背景には戦後の象徴天皇制に関する「健康な構図」のイメージがあった、と樋口さんは語った。国民主権のもと、国民が選挙を通じ、政治家を介する形で、正しくロボットに入力していくという構図だ。

「しかし実際はどうか」と樋口さんは、2013年に政府(安倍政権)が開催した「主権回復の日」式典に言及。「国論が分裂する中、沖縄県知事があえて欠席するような集会に天皇・皇后両陛下を引き出して、最後には(天皇陛下)万歳三唱を唱和した」と批判し、「いまだに日本国民は、宮澤先生の言った正しい意味での『ロボットへの入力』をすることができないでいる」と述べた。

続きはこちら;

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東京新聞の若い人の意見コーナーに、こんな素直な発言があった。

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皇室の危機を回避する

河野太郎2016年10月19日 22:49

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我が国の皇室は、かつてない存続の危機に瀕している。

天皇陛下より若い皇族男子は、皇太子殿下、秋篠宮文仁親王殿下、秋篠宮悠仁親王殿下の3人しかいらっしゃらない。将来、悠仁親王家に男子がお生まれにならなければ、男系の皇統が絶えることになる。

たしかに我が国の皇室は男系を貫いてきた。しかし、男系天皇を維持することができるかどうかは、このままいけば確率の問題になってしまう。

 

一、男系の維持をいかに図るか

今後とも男系天皇を維持すべしという意見がある。しかし、言うのは簡単だが、現実は容易ではない。今後とも、男系を維持するのが好ましいとして、いかにして男系を維持することができるだろうか。

ア 旧皇族男子を皇族の内親王殿下または女王殿下に婿入りさせる

戦後、皇籍離脱をした旧宮家の男子を現皇族の内親王殿下または女王殿下に婿入りさせ、宮家を創設し、その男子を皇位継承の対象とするという方法が考えられる。特に、東久邇家には昭和天皇の内親王が嫁がれ、竹田家、朝香家、北白川家、東久邇家には明治天皇の内親王が嫁がれ、皇室との最近の縁戚関係もある。

しかし、内親王殿下、女王殿下にもご結婚の自由があり、ご結婚を強制することはできない

また、旧宮家は1430年に即位した後花園天皇の弟貞常親王の子孫であり、それ以来、600年近く、現皇室との間に男系の繋がりはなく、その男系が皇室を継ぐことが国民的に受け入れられるだろうか。また、仮に運よくこの方法で宮家が一つ、二つ増やせたとしても、継続的にできるわけではなく、男子が生まれる確率が多少高まるにすぎない。

イ 側室を復活させる

これまで男系が続いてきたのは、側室の存在が大きかったと言わざるを得ないが、国の象徴であり、国民に親しまれ、敬われる皇室ということを考えれば、また、国際的にみても、現代に側室を復活させるという選択は、現実的な選択肢とはなり得ない。

ウ 人工授精など科学的な方法を用いる

男系皇族の精子を保存し、人工授精するなどの科学的な方法が考えられなくもないが、卵子の提供や人工懐胎をどうするのか等、問題は多い。また、そのような皇室に、皇后にふさわしい女性が嫁いでこられるか、疑問が呈されるだろう。こうしたことを考えれば、男系天皇を維持すべしという議論は理解できるにしても、それを具体化するための現実的な、国民に広く受け入れられるような方法はどうするのだろうか。現実的であり、具体的な方法の議論なしに、男系天皇の維持を主張することは皇室の存続を危うくする。男系の維持を考慮するならば、国民に広く理解され、受け入れられる具体的な方法の提示が必要である。

 

二、男系、女系に関わらず皇室の維持を図るべき

男系の維持が困難であるならば、次善の策は、男系、女系に関わらず、皇室の維持を図るべきではないか。そのためには皇室典範を改正し、長男継承を長子継承に改めるべきではないか。その場合、親王殿下だけでなく、内親王殿下、女王殿下も宮家を創設し、継承順位に従って、天皇位を継承していくことになる。

たしかにこれまでの天皇家の歴史を変えることになるが、男系天皇を維持できない可能性が高く、その場合、皇統そのものが断絶することになり、その危機を回避するためには皇室のあり方を変えることもやむを得ないのではないか。

 

三、継承ルールの変更の議論を速やかに始める必要がある

今上天皇の生前退位の議論を優先し、継承ルールの変更を先送りすることはできない。今上天皇が生前譲位されて上皇になられ、皇太子殿下が即位された場合、長男継承が続くならば、秋篠宮文仁親王殿下が皇太弟となられ、長子継承ならば愛子内親王殿下が皇太子となられる。それまでに継承ルールの議論に結論を出すべきではないか。

悠仁親王殿下まで長男継承を続け、そこで皇室に男子がいなくなったからといって長子継承に切り替えるのは難しい。内親王殿下も女王殿下もそろそろご結婚の話が出てもおかしくないお年頃である。

現在の皇室典範ではご結婚された内親王殿下、女王殿下は皇籍を離脱されることを考えると、悠仁親王殿下まで長男継承としてしまうと、その時には皇室の女子がいなくなってしまう可能性もある。だから今上天皇の生前譲位までに皇位継承のルール変更をすべきである。

 

四、長子継承にするならば、天皇家の祭祀の変更が必要かどうか、確認する必要がある。

宮中祭祀の中には、新嘗祭や大嘗祭をはじめ、女性が祭祀を執り行うことができないとされているものがあると言われる。しかし、その理由は、女性の生理や出産を穢れととらえる意識によるものであり、現代社会にはなじまない。他方、宮内庁は、女性天皇が執り行うことができない祭祀はないと明言している。長子継承にするならば、この点を確認し、必要ならば祭祀を変更する必要がある。

 

五、宮内庁を改組すべき

このままでは皇室の存続の危機が訪れることがわかっていながら、これまで無為無策に終始した宮内庁の責任は厳しく問われなければならない。また、宮中祭祀や陵墓等の情報公開に後ろ向きで、皇室と国民との間に壁を作ってきたのも宮内庁に責任があると言わざるを得ない。

宮内庁を改組し、国事行為・公的行為等に関する事務を取り扱う組織、天皇・内廷、宮家の日常をお支えする組織、文化的、科学的な立場から天皇家の祭祀や歴史の維持を行う組織の三つに分割し、これまでの宮内庁の文化を一変する必要がある。

天皇陛下が、国民に対して語りかけられたお言葉は、皇室の存続に対する陛下の強い危機感のあらわれではなかったのか。お言葉を受けての議論を、生前退位の議論に矮小化してしまうことは、皇室の存続を危うくすることにもつながりかねず、この機会に皇室の安寧と弥栄のための議論を、広く国民を巻き込み、行うべきである。

 

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皇位継承問題について書いたところ、様々なご意見をいただいています。その中で気がついたことをいくつか。

私は、日本を日本たらしめているもの、つまり、日本と韓国、中国など他の国との違いは何かと問われれば、日本とは象徴である天皇陛下がいらっしゃり、日本語を話すところと答えます。

天皇陛下と日本語が、日本という国のかたちの中心にあると思います。ですから、私は、皇室の継承問題は非常に大きな課題だと考えてきました。

しかし、寄せられたご意見の中には、「なるようになる」「その時はその時」といったような、わりと軽く考えているようなものも少なからずあり、その数にショックを受けました。同時に、皇室と国民との間の距離を縮めてこなかったことを与党の一員として深く反省しなければならないと思います。

もう一つが、旧宮家に対する認識です。戦後、皇籍を離れた旧宮家のすべてが1430年に即位した後花園天皇の弟貞常親王の子孫であり、それ以来、600年近く、現皇室との間に男系の繋がりはないのだということを御存じない方も結構いらっしゃるようです。

「例えば明治天皇の御兄弟やいとこの子孫」などに男子はいませんし、それどころか、つまり、600年近くさかのぼったところで分かれた家系の子孫の男子が旧宮家なのです。

ただ、そんなに遡らなければ天皇の血を引く男子はいないのですか、と問われると、家系的にはもっと近い男子もいます。ただし、皇族ではありません。

俗称で、「皇別摂家」といわれる家系があります。藤原氏の嫡流で、摂政・関白に昇任することができた5つの公家のことを摂関家とよびます。近衛家・九条家・鷹司家・一条家・二条家の5つのうち、近衛家と鷹司家、一条家にはそれぞれ皇族男子が養子に入って家を継ぎました。

近衛家には1599年、後陽成天皇の第四皇子が養子に入りました。一条家には1609年、後陽成天皇の第九皇子が養子に入りました。鷹司家には1743年、東山天皇の第六皇子、閑院宮直仁親王の第四皇子が養子に入りました。

この三家とも既に本家は男子が断絶し、養子を迎えたため、皇室の血を伝えてはいませんが、分家あるいはこうした家から養子に迎えられた先で男系が続いているところがあります。

1430年に皇室から分かれた旧宮家よりも、血統という点では皇室に近いといえるかもしれません。しかし、いずれも養子に出た時点で皇籍を離れたわけですから、旧宮家よりもはるかに長く民間であるということになります。

男系天皇の維持ということを考えれば、皇別摂家の血を引く男性にも婿入りの可能性はあるかもしれません。しかし、旧宮家同様、そもそも数百年前に皇室から分かれた家系の者をどう考えるのか、皇室の女子の結婚の自由の問題、一人二人の男子が増えたからといって皇位継承が安定するわけではないといった問題は残ります。

皇室は大切だと考える多くの国民の間で、しっかりとした議論が速やかに始まることを大いに期待すると同時に、皇室に対する国民全体の親近感や崇敬の念をどう増すことができるか、真剣に考えていきたいと思います。

 

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「わしは眞子さまが結婚のために民間人になると決断されたら、反対はしない。仕方がないではないか。」って、小林よしのりさんは、眞子さんのお父さんでも、その筋から相談を受けたわけでもないんだから。。。ほっとけば。

でも、勢い込んでこんなことを言っちゃうところが、まっすぐでいい人だなと思う。

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以下、小林さんのブログより*****************************
2016.10.18(火)

眞子さま横浜デートで見えた日本の未来

「週刊女性」が眞子さまの横浜デートを報じている。恋愛関係ならば、引き離すわけにはいかない。ひょっとしたら結婚ということも考えられる。 

だが女性宮家の創設を、今回の有識者会議で検討しないのならば、眞子さまはそもそも自分の人生の見通しを決めることすらできない。結婚して、民間人になっていいのかどうかも、躊躇されるだろう。

恋愛して、結婚したいと思っても、そのときに女性宮家創設が決まれば、彼氏とは別れねばならないかもしれない。眞子さまにとっては、恋愛するにも覚悟がいるのだ。なぜ将来の運命を決めてあげない?なんて残酷な仕打ちなんだ? 

わしは眞子さまが結婚のために民間人になると決断されたら、反対はしない。仕方がないではないか。 だが、後に残るのは、愛子さま、佳子さま、悠仁さまのたった3人になる。
安倍晋三が、何が何でも男系男子と言うなら、愛子さまが皇太子殿下になる道はなく、次に皇籍離脱するのは佳子さまになる。 そして愛子さま、最後に悠仁さまだけが残る。 

そこに民間人の女性が、ただ「男子を産む機械」として嫁いで来る可能性はまずない。その時点で、旧宮家系の男系男子を皇族にと言っても、まず不可能だ。
かつて「週刊新潮」が調査した結果によると、現在も残っている旧宮家のうち、男系男子がいるのは3宮家だけ。その中の誰も、いまさら皇族になんてなれないという冷たい反応だった。 

眞子さまが結婚して民間人になった時点で、皇室は終焉の時を待つだけだと考えてもいい。
今後30年間は皇太子殿下が不在の年月が過ぎていく。そして次の天皇陛下と皇太弟が、二人で老いていく姿を国民は見ているだけだ。その間に国民は皇室への関心を急速に失っていくだろう。 

天皇陛下と皇太弟は、どちらが先に没するかはわからない。ひょっとしたら悠仁さまは一度も皇太子になることなく、天皇になるかもしれない。伴侶もなく、40歳過ぎて、いきなり即位される。その頃にはもう国民はすっかり皇室のことなど関心もない。皇室の終わりだ。 

日本は皇室なき民主主義の時代を迎える。そして喝采と共に権威と権力を一身に纏う首相が誕生する。独裁制の出現である。

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