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安保法制訴訟、初の憲法判断 2023/12/5長谷部恭男教授 Full TEXT

日本学術会議(続々々)

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特措法ではいけない生前退位

 

明日から臨時国会が始まる。論点は補正予算やTPPなど様々だが、その一つに、天皇陛下の生前退位が挙げられる。去る8月8日、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」が発された。そして、そこに「殯(もがり)」に関し、陛下から、以下のようなお気持ちの表明があった。

「天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。」

殯(もがり)とは、天皇が崩御したとき、天皇霊を新帝に引継ぐために、霊・肉を分離し、魂を浄化することにある。なぜ、このタイミングで陛下が「殯」を持ち出しこのような思いを述べられたのか?

2013年、宮内庁は天皇・皇后両陛下の葬儀やお墓の在り方を大きく変更すると異例の発表をした際、火葬を望まれるという両陛下の当時の思いを示した。このことと、併せて8月8日の「殯」への言及を考える必要があると思っている。

それは、日本の天皇位の根拠が古代における即位・大嘗祭(だいじょうさい)の特殊な構造にあることを理解しなければならないからである。こには天皇の死を契機とする殯、即ち遺体の腐敗が死の穢れと連動することにより、新しい天皇の誕生に影響を及ぼしていた過去があるからだ。

そのヒントは天武・持統朝と呼ばれる時代にある。壬申の乱の後、日本の統治機構、宗教、歴史、文化の原型が作られたと言われる時代で、天皇を称号とし日本を国号としたのもこのとき。古事記、日本書紀の「記紀」には、「神話」的叙述の段階から「大嘗」や「新嘗(にいなめ)」の語が登場するが、これらが明確に区別されて使われるようになったのも、天武以降であった。

 「折口信夫は昭和3年に発表した『大嘗祭の本義』のなかで、大嘗祭儀のうちに鎮魂祭と天皇の死=再生の儀礼が織り込まれていることを論じた。禁中に仮設される悠紀(ゆき)・主基(すき)の両殿に天皇の寝所がつくられ、茵(しとね)と衾(ふすま)が用意される。これは日嗣の皇子となる後継者がその資格を完成するために、寝所に引き籠って物忌みの生活に入るためのものである。

そして『日本書紀』の天孫降臨の場面で、ニニギノミコトのからだを覆っていた『真床襲衾(まどこおうふすま)』がちょうどこの大嘗祭における寝所の茵と衾にあたるのだという。その真床襲衾を取り除いて起き上がるとき、ヒツギノミコははじめて完全な天子となると信じられていた。

このとき先帝の『魂』が新しい天からだに入って、その永遠の生命の活動をはじめるというのである。折口がここで強調しているのは、天皇の肉体は一代ごとに変わっていくけれども、その肉体から肉体へと継承される『魂』は不変だということである。かれはその『魂』を永遠の『天皇霊』と同一視した。そして第二に、血統上ではもとよりそこに『皇位』の継承が考えられているが、しかし信仰上からは不変の魂(天皇霊)の継承のみが想定されているのだという。天皇の魂の不変性を儀礼的に保証するものが、毎年くり返しおこなわれる復活鎮魂の祭りとしての新嘗祭であり、代替わりのときにおこなわれる大嘗祭なのである。」(山折哲雄「死の民俗学」より)

このように天皇の皇位継承は、即位礼に続く大嘗祭によって完結する。これは英国など他の立憲君主国の場合と根本的に異なっており、それは「血」が繋がっていることもさることながら、永遠不変の「天皇霊」を先帝のからだから継承することこそが大嘗祭の本質だからである。

「血」の原理では、それが初代のカリスマ性を保証するものではあるが、しかし、代を重ねるごとの血の濃度の減少はカリスマ性の濃度が希薄化することに繋がる。つまり、日本の皇位継承には、「天皇霊」の原理がより強くはたらいているのである。

霊の原理は継受の過程でその濃度をいささかも減ずることがなく、血の原理と比べて相対的にその安定性は高い。だから、大嘗祭が重要な儀礼なのである。しかし、それは歴代の天皇が継承してきた天皇霊を新しい天皇がみずからの身体に受け入れることであるから、先帝の遺体の処理が滞りなく終了した後、すなわちその遺体から天皇霊を完全に分離させた後でないと行えない。つまり、先帝の葬送儀礼は何よりも遺体と魂をいかに分離するかということが課題となっていたのである。

例えば、天武天皇崩御にあたっては、2年2か月の殯が行われ、持統天皇による大嘗祭は先帝崩御の約5年後となり、その間の祀りごとは停滞し、皇位継承、ひいては社会の秩序安定も損ねることになる。そこで持統天皇は自らの葬儀にあたっては、火葬によって穢れを浄化できる仏式による葬儀を採用することになる。

これにより、殯の期間が持統1年、次の文武5か月、更に元明天皇では一週間になり、先帝の鎮魂、滞りなき皇位継承、そして社会の秩序安定が極めて短期間に達成できるようになった。別の言い方をすれば、宮殿の外部に仏殿が建てられ仏教との分業体制が整ったことにより、葬儀と天皇霊の継承といった浄穢(じょうえ)の分離を可能にする仕組みができあがったのである。

 以後、孝明天皇まで1200年間、天皇の葬儀に仏教が関与することとなった。京都の泉涌寺は皇室の菩提寺で「御寺(みてら)」と呼ばれ、月輪陵(つきのわみさぎ)と呼ばれる陵墓には、四条天皇をはじめ後水尾天皇から仁孝天皇までの25陵、5灰塚、9墓が営まれている。天智天皇から(南北両朝の天皇も含む)歴代天皇皇后の53の尊牌(位牌)もこの寺に安置されている。(ちなみに、1654年の後光明天皇からは儀礼的火葬の後に土葬となる。)

更には、先帝の「死」を契機とする皇位継承は、当然のことながら遺体の処理と皇位継承という有事に対応せざるを得ない ことになる。

そこで皇位継承の場面から死穢(しえ)の排除ということを突き詰めていくと、「死」を契機とする皇位継承から「譲位」を契機とする皇位継承のほうがが、より安定した皇位の継承であると論理的には帰結していくことになる。

そうであるからこそ、持統天皇自身は生前に譲位し、そのまま大嘗祭で孫である文武天皇へ穢れなき霊の継承を行ったと思われる。そして元明天皇が平城京に遷都した以降、元正、聖武、孝謙へと譲位が恒常化していった。

このように皇統の中断なき継受を実現するため、(1)仏教との連携により天皇の死を外部化し、(2)譲位を恒常化するという、二重の防護壁を設けることで、先帝の死とは関係ない時空間で穢れなき大嘗祭が行うことができるようになった。もはや、殯の長期化に対する否定的な感覚は、この天武から聖武の時代に変更のきかない方針として定着しつつあった。

ところが、慶応4年・明治元年(1968年)、明治政府は一連の神仏分離令を発し神仏習合を禁止し、明治天皇を現人神とする国家神道を国教化する方針に踏み切る。同時に天皇が崩御された際の皇霊祭儀に関しても、1200年間続いていた仏式葬を止め、神式の「殯(もがり)」が復活した。つまり、持統天皇以来、皇位が安定的に継承されていく為の仕組みが一気に壊され、復古という名のもとに不安定だった天武以前の時代に逆戻りさせられたのである。

更には、天皇の葬儀とは直接関係ないものの、明治39年(1906年)に施行された1町村1社を原則とする神社合祀令は、「八百万の神々」に壊滅的なまでのダメージを与えた。

明治政府は記紀神話や延喜式神名帳に名のあるもの以外の神々を排滅することによって国家神道の純化を狙った。  全国で20万社あった神社のうち7万社が取り壊され、土地の神様(産土の神)の抹殺により、地域の歴史も分からなくなった地域もあるという。

特に熊野信仰などは、古来の自然崇拝に仏教や修験道などが混交して成り立ったある意味「何でもあり」の宗教で、合祀の対象となりやすかった。三重県、和歌山県他3県の神社減少率は9割と言われる。

3年前に「火葬」を望まれた両陛下の思いと、今回の「生前退位」、そして「重い殯」の行事をまるで忌避されるようなお言葉を併せて考えるに、それは持統天皇らのとった安定的な皇位継承に逆向する明治の「一連の宗教改革」に不快感を表明するもので、ひいては安倍政権が押し進めようとする憲法改正に象徴される、力による覇権、謂わば「明治レジーム」への激しい抵抗を「重い殯」という言葉に思いを込めて、ギリギリの球を投げ込んだのではないかと考えられる。

生前退位が、この臨時国会で陛下の健康をおもんばかってとの建前で、「特措法」として処理されかねない状況である。上述した我が国の皇統にまつわる歴史を鑑みれば、まさに、安倍政権が推し進めようとするわずか70余年の歴史でしかない現行憲法の改正、あるいは明治維新を是としての覇権主義国家への猛進を、陛下の重い「おことば」によって、我々は熟思黙想して正道へと導いていかなければならないと、強く感じるのである。

馬淵 澄夫 2016年09月25日

 

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側近が知る昭和天皇の“本音と愚痴” text  2024/1/2 (田島道治の回想) 河西秀哉

昭和天皇の「母」と「妻」に対する認識の落差 Text  2024/1/2 (田島道治の回想)

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◆ 久しぶり、女性天皇「問題」

◆ 女性天皇と”伝統”との乖離・矛盾

◆「象徴」天皇とは何か?

◆令和の憲法記念日

◆改元「令和」(わっ!すぐ変換される!)

◆2019;女性天皇支持率は84%

◆ 即位礼と大嘗祭の行方(12/4)

◆天皇の福島被災地訪問の車列から見えるもの

◆「退位」の日程の”違和感”

◆ 皇后の、奥深く選び抜かれた平和を願う「ことば」

◆ 天皇の高麗神社「訪問」

◆ ”女性天皇でも” LDP福田さん

◆天皇退位の法整備に策略が(4/19,20,22&23)

◆天皇退位問題も大詰め(4/10-3)

◆愛子さんの平和への思いを綴った作文

◆退位特例法;典範と「一体」

◆ 国会での進捗「特例法」許容へ?( 3/11)

◆「特別立法ではむしろ制度不安定に」(石破さん)

◆有識者会議の「論点整理」全文

◆”「有識者会議」のゆがみ”

◆民進党2議員の議論

◆Abe’s Intentional Misleading

◆生前退位ならぬ「公務の負担軽減」について(毎日、東京11/23)

◆「お言葉」を憲法学者が考える 11/2

◆「皇室の危機を回避する」;河野太郎提言

◆「女性皇族が減ってしまう”危険”」

◆「有識者会議に望む」 10/14

◆天皇論の「名著」: 福澤諭吉『帝室論』

◆Is he allowed to? (NYT)

◆Emperor Akihito Wants to Retire (W Post)

◆Can Japan’s Emperor retire? (USA Today)

◆Japan’s emperor retiring (The Guardian)

◆「『特措法は違憲』の指摘」という記事

◆「天皇と象徴を考える」(考論 長谷部×杉田)+岩井克己

◆「生前退位、明確な基準必要」

◆「特措法ではいけない生前退位」

◆天皇と「公務」

◆「度胸の天皇陛下」

この頃の日本、なんか危ない・・・

◆ 皇后の、奥深く選び抜かれた平和を願う「ことば」

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2019.3.9 女性皇族の参加について

2019.3.9 女性皇族の参加について 2

「AERA」記事中の山下晋司氏の意見に瞠目

「AERA」に良い記事が載っている。

「『特措法は違憲』の指摘」という記事だ。
朝日新聞の世論調査では、生前退位について、「今の天皇だけ退位するようにするのがよい」は17%にとどまり、「今後のすべての天皇も退位できるようにするのがよい」が76%だった。

憲法学者の木村草太氏は皇室典範の改正は「最低限必要」だと言う。
さらに一代限りの特措法を認めれば、今後も特措法によって、恣意的に皇位継承が行われかねないと述べている。正しい!

さらに23年にわたって宮内庁に勤務していた山下晋司氏は「特措法によって一代限りの生前退位を認めるのは陛下の真意に沿ったものではありません」と訴えている。
そして、もし一代限りの特措法だけで、今後の見通しが立たなければ、何らかの方法で再度「お気持ち」を表明されるかもしれないとまで山下氏は言っている。

わしもそう思うのである。
「朝ナマ」でも、わしは脅しておいたが、「一代限りの特措法による退位と即位」というのは、最悪の愚策で、これは天皇陛下にとって、屈辱のあしらいにしかならない。
タダでは済まないとわしは思う。
やっぱり宮内庁に23年間勤務していた人もそう思うのだなと意を強くした。

木村草太氏が「皇位継承を男系男子に限ることで天皇家にかかるプレッシャーは大変なもの。天皇陛下の幸せや人権を考えていかなければいけない時期にきている」と述べている。
まったくもって100%正しい。

こういう良識的な意見を述べる木村草太と、この記事を載せた「AERA」を見直した。

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◆ 「困った人」で追いつめられるAbe・・・

◆ 困った「二人」その後

◆ 安倍昭恵の影響力とその”危険性”(3/28~)

◆「道義国家」とは?

◆「教育勅語」の勉強

◆ 「教育勅語」が正しいという人(2)安倍昭恵

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◆「戦闘行為」についての支離滅裂

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◆間違い連発、稲田防衛相

◆国会論戦で”泣く”防衛大臣、適任?

◆「ヒラリーさん、『女性が輝く社会』なんて嘘です」

フジバカマ
フジバカマ

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ヒラリーさん、「女性が輝く社会」なんて嘘です

訪米中の安倍首相が19日午後、ヒラリー・クリントン氏と会談したそうである。その時の安倍首相の言葉がなかなかの厚かましさである。

私の政権が進めている『女性が輝く社会』にいち早く賛同の意を表明していただいたことにお礼を申し上げたい」 おいおいおいおいおいおい・・無限に繰り返したい。どの口が言うの? 

ヒラリー・クリントンに誰か在米日本人は伝えてくれないか?この「ゴー宣道場」サイトはアメリカにも多くの閲覧者がいる。その人たちは、「安倍首相は、国の象徴たる天皇には、女性がなることを断固、阻止しておりますよ」と、伝えてくれ。

「女性天皇も、女系天皇も、絶対ダメ!天皇は男系のみ!というのが安倍首相の考えであり、女性宮家にも反対しているのが安倍首相ですよ」と言ってくれ。

「徹底的な「男尊女卑」が安倍首相なのですよ」と、ヒラリー・クリントンに伝えてほしい。 『女性が輝く社会』なんて口ばかりで、皇室内では女性は輝くことができないんだから、そんな時代が来るわけない。

天皇は国の象徴である。愛子さまは「男系」なのに、それでも女性天皇にはさせない、というのが安倍政権なのだから、究極の男尊女卑である。クリントン氏は誤魔化されてはいけない。口だけなら何とでも言える。

『女性が輝く社会』『女性が輝く社会』『女性が輝く社会』けれど、天皇は男系男子しか輝けないのが日本である!

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小林よしのりがおもしろい。論旨が明快、言いづらいこともはっきり言うので理解しやすい。

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(考論 長谷部×杉田)+岩井克己 天皇と象徴を考える お気持ち表明を受けて
2016年9月18日05時00分

皇位継承などをめぐる憲法と法律の規定/天皇陛下が表明したお気持ち(骨子)
天皇陛下が先月、生前退位の願いを強くにじませた「お気持ち」を表明した。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)の連続対談は今回、昭和天皇の時代から皇室を取材してきた岩井克己・朝日新聞皇室担当特別嘱託を交えて、天皇制の現在と今後の課題などについて論じてもらった。

■反省すべきは「政治の不作為」 杉田/生前退位、特措法の検討は邪道 岩井

岩井克己・皇室担当特別嘱託 陛下は8月8日、生前退位の意向を強くにじませたお気持ちを表明されました。朝日新聞の9月の世論調査では、実に9割が生前退位に「賛成」しています。ただ、今回の表明が、「天皇は国政に関する権能を有しない」とする憲法4条に違反する恐れはないでしょうか。退位の意向が報道先行で表に出るまでの経緯も不透明ですし、天皇が望めば政府はその通りに動くのだという認識が広がるとすれば問題です。

長谷部恭男・早稲田大教授 道路交通法などと違って、憲法違反か否かは、条文を直接の根拠にスッパリと線が引けるわけではありません。個別の事情を勘案しながら総合的に判断せざるを得ない。今回は天皇が「個人として」の考えを述べられた。明言はされませんでしたが、要は、今の制度には不備があると指摘されている。日本国憲法が想定する天皇の象徴としての地位を安定的に維持するためには、これまで行ってきたような規模と内容の公務を続けるしかない。しかし私は高齢で無理になってきている、このままでは天皇としての役割や地位を安定的に支えられないと。このことを提起できるのは、天皇自身しかないでしょう。メッセージの内容も、日本国憲法を出発点とする真っ当なもので、非難されるべき点があるとは思えません。Read More →