辛 夷

ふっくらとした花弁、コブシの花

2012年10月1日

kobushi5.jpg

葉山町下山口の「桃源郷」のコブシ

wr.jpg

どんな時だったのか、7歳か8歳のころ、ひとりで登った早春の山で、その強くかぐわしい
香りに誘われ出会った花、コブシ。

OK_azumaichige.JPG

早春の雑木林にたったひとり、心細い気持で見上げた空は青く澄んでいました。腕には抱えるほどのコブシの枝を持って、半ば途方に暮れていた少女のころの私を、今も懐かしく思い出します。

kobushi4.jpg
「ひとりで帰れなくなったらどうしよう」と不安に思いながら、白く咲くその花に吸い寄せられ、どんどん雑木林を登って行きました。 山にはまだ雪が残り、でももう春の風が吹いていました。

その花はもしかして「タムシバ」だったかもしれません。でも私にとって、ようやく家に帰り着いた私に、その日父が教えてくれた「コブシ」という名前が、ふさわしいのです。

 

 

OK_azumaichige.JPG